世田谷パブリックシアター
三谷幸喜作
加賀丈史、戸田恵子、浅野和之



今は亡きひとりの女性歌手・にしきと共に、かつて活躍した作詞家・杉田と作曲家・前野。杉田は今や売れっ子となり、とても吟味されたとは思えない適当な言葉を並べてどんな仕事でもほいほいこなす。気むずかしい前野はプライドが高く、つまらない仕事の受注に頭を下げるくらいなら、貧乏暮らしの方がマシだと思っている。そんな二人がにしきの六周忌に久しぶりに顔を合わせ、彼女のために曲作りをする。その一夜に語られる、にしきとの意外な想い出。彼女はなぜ死んだのか? 彼女は誰を愛していたのか? 世渡りのうまい下手、プライドの功罪、仕事に対する自信の揺れ動き。(以上よそからベタ貼り)


公演寸前に作曲家役の加賀丈史が病気で降板し、かわりに浅野和之が短い準備期間で急遽代役を務めるというドラマ以上にドラマチックな経緯があり、別の意味で大変盛り上がった。
代役浅野の演技は代役ということをまったく感じさせない。むしろこの役に加賀丈史はありえないだろうというくらいのハマリ方。


極上のラブコメ。たっぷり笑ってたっぷりしみじみ。脚本家の思うがままにあやつられる喜びを堪能。