2003年10月

その場しのぎの男たち

東京ヴォードビルショー@下北沢 本多劇場
三谷幸喜脚本。前半は「東京オードブルショー」と銘打ったコント集。
夜道で別れる恋人達。「さよなら、今夜は楽しかった」の後で去っていく男の背中に意を決した表情で女が叫ぶ。
「あなたと一緒に朝日を見たいの!」
暗転。男にスポットライトと劇的な音楽(Show meですね)
男、感極まって答える。
「わかった! じゃあ、明日朝5時半にここで集合な! おっくれるなよ~!」
走って去って行く。・・・こんなのがいっぱい。

休憩を挟んで「その場しのぎの男たち」。明治24年の5月11日朝、大津市の路上で来日中のロシア皇太子ニコライが巡査・津田三蔵に襲われる。世にいう「大津事件」である。わずか組閣5日目の松方正義内閣にとって日本の命運にかかわるこの大ピンチは汚名返上の千載一遇でもあった。
内相・西郷従道、外相・青木周蔵、逓信大臣・後藤象二郎と共に無い知恵を絞って編み出す「その場しのぎの対応策」は、打つ手打つ手が面白い様に外れていき、そこに農商務大臣・陸奥宗光、伊藤博文とその右腕・伊東巳代治が加わり、ますます混乱の深みにはまっていく。
 かたや冷徹なまでに日本の政治に命をかける伊藤博文と、かたや気のいいばかりでどうしても一流になりきれない三流政治家松方正義とその仲間達の生き方の違い…。

すいません。またよそからあらすじをコピーしてしまいました。伊藤博文が伊東四朗と山本龍二のダブルキャストで我々が見たのは山本の方。この二人の違いだとかなり全体の雰囲気も違うんだろうなあ。
脚本はさすが三谷という感じの完成度の高さ。充分笑わせていただきました。

シェルブールの雨傘

BSデジタルでやっていた。1964年フランス。ミュージカル、それも一切ノーマルのセリフなしで「お醤油とって」「はい」などという普通の台詞まで全部が歌。
この全部にオーケストラの伴奏がきちんとついている訳だから、一切の演技は役者の自由にはならずに伴奏の時間に合わせることになる。長回しで場面の移動などもあったりするので、これってけっこうすごいことではないかい?
デジタルの処理が後でできる時代ではないので、シーンごとにほぼ一発勝負で撮影されたのではないだろうか。フランス野郎なかなかやるぜ。

若い恋人がいて、男がアルジェリア戦争に徴兵されて、別れ際にエッチしたので女は妊娠してて、男が戦争に行っている間に家計が苦しくなって女は金持ちの宝石商と結婚するという話。なんてことはないやね。

重松清「40回のまばたき」

夏以降重松ばかり集中的に読んだ。久しぶりのお気に入り作家。極めて高い文章力があるのに、こだわりのニュータウンか、さもなくば学校(それでもニュータウンがからむ)ばかりを舞台に書く。
本作は1993年の3作目(あとがきによると)。初期作品だがなかなか大変に素晴らしかった。病気で冬の間は「冬眠」してしまう女性、事故死した妻が不倫していたことを葬儀の後で知り葛藤する翻訳家、粗野で謎めいた米国人小説家といったキャラ立ちまくりの登場人物を静謐な文章で綴る。静謐ってどういう意味だっけ。わからない言葉を使っちゃいけないな。
雰囲気的には「ノルウェイの森」と「キッチン」の中間くらい。俺は好きな感じでした。

マイノリティリポート

日曜も晴れ。昼食を「わ蔵」で食うついでにDVD1本借りてくる。あまり縁のないトムクルーズさん。エンドロールで知ったがまたまたスピルバーグ。よく働くなあ。
近未来SFサスペンスっちゅう感じ。比較的よくできていた。悪い奴が主人公を落し入れようとする策略のくだりがよく理解できなかったが、まあいいか。時間移動(ここでは予言という形で肉体が移動する訳ではないが)がストーリーにからむと、たいてい納得できないまま終わる。

一郎ちゃんが行く

14時から博品館劇場で演劇を見るので、早めに銀座に行きランチ。泰明小学校正門向かいのガラス貼りのレストランでニョッキとホタテと野菜の炒め物。わりかしうまい。少ないけど。
小学校の校庭でいわゆる「よさこいソーラン」を大人数で練習しているのが見える。後で分かったのだが中央通りで江戸百年だかなんだかの大きなお祭りパレードの日だったのだ。
演劇はわかぎえふの『一郎ちゃんがいく』。リリパでもラックシステムでもないけどリリパから5人くらい出ていた。10年以上前から何度か再演しているので演目名だけは知っていたが見るのは初めて。ストーリーは http://ha2.seikyou.ne.jp/home/sami/ichiro-chan.html に5年前の内容を恐ろしく詳細に書きとめた奴がいるので省略。知識を争う「言葉のバトル」を猛烈なスピードで格闘技さながらに戦う場面が見物。(ただし早すぎて何を言っているのかよくわからない)
博品館は歴史のありそうな古い劇場だが、とにかく椅子が固い。久々に苦しんだ。

『川の深さは』作者不詳(忘れた)

後半までハンパなハードボイルド系と思って、文章の下手さに呆れながら読んでいたが、終盤でいきなり「冒険大活劇ラブコメ」になった。市ヶ谷の地下からアパッチに乗りこんで脱出するあたりは「映画化してくれー」と言わんばかりの大サービスぶり。半熟な主人公の純情ラブコメが色を添えて、結局そこそこ楽しんだぜ。文章ひどいけど。

いしかわじゅん『鉄槌』

文庫の広告が新聞に出た日に本屋で探して買う。
大変面白く1日で読了。
不条理小説として読んでもいいかも。

馬主

8qux0g82.JPG実は妻が馬主。
といっても一口馬主という奴で、しかもその一口を会社の数人で割って皆で共同馬主になっているわけで、費用は微々たるものらしいが。

東京デビューというので中央競馬場まで行って写真をいっぱい撮って来た。この写真はゴール直前。動いている馬を撮影するのは難しかった。

TAXI

リュック・ベッソンの初期作品。痛快爆走活劇。こういうのも疲れているときにはよし。そのうちⅡとⅢも見よう。

ジョンQ

貧しい黒人労働者のデンゼル・ワシントンの息子が心臓病になって病院に行くのだがお金がなくて移植手術をしてもらえなくて、怒って銃を持って人質と病院に立てこもって手術をさせようとする映画。あまりに見え見えの展開なので大感動とまではいかないが、最近素直になった私はこういうのもそれなりに受け入れるの。★★★★

ギャング・オブ・ニューヨーク

前に見たのが『キャッチ・ミー~』だったので、2本続けてディカプリオになってしまった。ご多分にもれず、この作品でも一般的な評価は低いのだが、私はこの2本のおかげでけっこう名優として認めるようになった。とはいえ役どころを考えると、もっとギラギラした無名の若い誰かの方が良かったかもな。候補はあるのだが名前が出てこない。
相手役のダニエル・デイ・ルイスという人がすごかったですねえ。感心しました。他に何か出てる作品見たことあるのかな。

先月、南北戦争時代を南部から見たTV映画(アンジェリーナ・ジョリーの)を見て、今回のは北部の立場です。ただし、南北戦争は単なる背景でこの映画の闘争はアメリカ人とアイルランド移民。映画の最初とラストが壮絶な乱闘シーンです。

歴史的な教養がなくて、現実感が乏しいのですが、こういう時代と人々がいたことは事実だとすると、まったくなんて争い好きで残虐な国民なんだろうと呆れてしまいますが、そうやって戦いと勝利だけを繰り返してできた国がアメリカなんでしょう。

それにしても3時間もある映画がわりとあっという間でしたね。いくら金かけてるか想像もつかないセットと衣装に凝った映像とよくマッチさせた音楽(主題化はU2)のおかげで飽きなかったです。
結論から言うと、超有名俳優に頼らないで作れば、もっと感動的になったのでしょう。有名俳優は背負ってるイメージがどうやっても消せない。一長一短ってとこです。
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