1970年代前半の自衛隊を舞台にした短編集。著者自身の入隊体験を元に書かれている。この人は、作家になる前にそうとう紆余曲折の人生を送っていたらしいのだが、自衛隊もそんぽひとつ。
「自衛隊」と名前だけを変えた旧日本軍にうっかり入隊してしまった新隊員たちの悲しくも可笑しいドラマを相変わらず上手に描いている。終戦から時間を止めてしまった塀の中と、高度経済成長の中で活気に沸く塀の外との対比が面白い。