book

のだめカンタービレ 1-3巻

cfw9vd28.JPGいろんな楽器を弾いている女の子の表紙が、ずらりと平積みになっている。大きな書店でのきなみそんな売り方。とりあえず8巻まで出てるうちの3巻まで買ってみた。

普通におもろい。

二ノ宮知子は「平成酔っ払い研究所」の人。作者自身もかなりキャラが立ちまくりの人のようだが、「のだめ」の主人公野田恵も性格的には作者の分身に思える。

音楽大学を舞台にしたコメディ。どう考えても作者がクラシック音楽に縁があるように見えないので、編集とのコラボで生まれた企画モノと思われ。音楽大学物というと『変奏曲』を元祖にいろいろあったようななかったような。ま、いずれにしても異常性格者がこれだけ出てくるギャグマンガとしては前例がなさそう。

のだめは、個性的なピアノ課。いわゆる上手ではないが、演奏は面白い。譜面はほとんど読めない。聴いたメロディをピアノで再現するのは得意。音大生用らしきワンルームマンションに住むが、その室内は壮絶に散らかり放題。グランドピアノ周辺も残飯と虫とカビに占拠されている。風呂に入らない。これだけとっても、女性の主人公としては異例中の異例と思われる。その上で舞台が音楽大学というのだから、設定としてはサービス過多と言う他ない。

隣に住んでいるのが、音大のアイドル千秋。指揮者志望の男で学業的にはエリート。通常は自信に満ちたクールキャラだが、のだめにつかまると、いいようにされるがまま状態に振り回される。最近読むマンガにこの手の被害者系キャラ多し。

とりあえず、8巻まで読んで見ようとしています。

百鬼夜行抄 今市子

前に人から借りて読んだ時は、なんとなくピンと来なかったのだが、妻が文庫で買いなおしたのを読み返してけっこうはまっています。

歩兵の本領 浅田次郎

1970年代前半の自衛隊を舞台にした短編集。著者自身の入隊体験を元に書かれている。この人は、作家になる前にそうとう紆余曲折の人生を送っていたらしいのだが、自衛隊もそんぽひとつ。
「自衛隊」と名前だけを変えた旧日本軍にうっかり入隊してしまった新隊員たちの悲しくも可笑しいドラマを相変わらず上手に描いている。終戦から時間を止めてしまった塀の中と、高度経済成長の中で活気に沸く塀の外との対比が面白い。

タナトス 村上龍

xyln11cq.JPGキューバ観光のガイドなどで食いつなぐ「オレ」に舞い込んだ仕事は、入国審査で引っかかった謎の女レイコの身元引きうけだった。女優を自称する彼女は「錯乱を整理したくて」キューバに来たという。始まった長い独白……。一人芝居? 「先生」と呼ぶ男との官能と退廃の日々の語りは事実なのか?

イメージは極彩色の粘液。南米にかぶれてから、さらに純度を増した感じ。壊れた「女優」の独白を延々と聞くのはなかなかしんどい。でも、その独白の一部でも、試しに口に出してみると、決して言葉としてはありえない文語であることがわかる。演じられないことを想定した戯曲? 昔、テレビの「RYU'S BAR」が好きで、というか岡部マリが好きで、ついでに喋る村上龍を毎週みていた。あの、反応の鈍い純朴そうなおじさんが、小説になるとめっちゃ饒舌です。

冗談新撰組 みなもと太郎

70年代初頭に少年マガジンに短期連載されたマンガの新撰組。あの時代であれば、当然マガジンもサンデーもチャンピオンも(以下略)むさぼるように読んでいたはずだが、もちろん記憶はない。同じギャグ系でも、永井豪や赤塚不二夫ジョージ秋山などと比べると格下のページ穴埋め程度のマンガ家と認識していたのだろう。

その後「風雲児たち」のシリーズをライフワークとして何十巻も書きつづけていることなどを、今回調べて知った。

さて、新撰組。「ややこしい時代をますますややこしくした男たちの物語」という秀逸なモノローグで始まる本編は、三谷幸喜をして史上最もコンパクトで的確でスピーディな新撰組と言わしめた佳作。30年前のギャグは稚拙だが、全体に漂うほんわかした空気感は悪くない。あの陰惨で無意味な物語がなぜにほんわか書けるかというと、最初から最後まで一人の死者もださないという大胆な構成にあった。芹沢鴨ですら、寝ているところを凶刃により串刺しになるのだが、実は布団の更に下(床下)で寝ていて、難を逃れたというオチ。史実とは違っても少年マンガの試みとしては悪くない。

カツラーの秘密 小林信也

li4d11jc.JPG20代後半から禿に悩み、情報もないまま最大手メーカーのカツラを使い始めた著者はスポーツライター。その使用感の悪さと、止むことなき執拗なセールス。カツラをつけていることによる人生の様々な制約との葛藤。12年目にしてようやく満足できるカツラを作るメーカーとの出会い。

門外漢の私にも大変楽しめました。ぶっちゃけアデランスとアートネイチャーに対する相当に激しい告発本です。年間で合わせて200億円以上の広告を出稿する企業に対しての、これほど辛らつな告発本が出版可能なこと事態が驚き。少なくとも禿に悩む人で、この本を読んで、それでも大手2社でカツラを作ることは100%ありえない程度にはっきりとその不満は書かれています。

そういえば、今年の某新年会で35年以上の長い付き合いの知人が「俺カツラなんだよ」とカミングアウトしたことを思い出しました。あの突然の告白の背景ってなんだったんだろう。

著者サイト(「カツラーの部屋」参照)

「と」な本だ

1lobw5by.JPG何気なくキャビネの上に怪しい本が積み上げてあった。目次を見るとイルミナティとかローマクラブとかマルタ騎士団とか、ヤマモトの本でよく見る単語がずらり。例の○○は●●が仕組んだ陰謀だった!みたいのが延々400ページに渡って書かれているようだ。
後学のために読んでみる。(たぶん最後まで行かないと思うけど)

晴天。夕方から渋谷でプレゼン。大きな悩みナシ。昼食後に頭上のスピーカーから、強制的に稲垣ゴローのヘタな歌を聞かされたことだけが本日のマイナスポイント。聞きたくない音楽を強制的に聞かされるのはイヤだ、と総務に電話したんだけど、変人みたいに思われて、相手にされなかった。くそー。

犬大将ビッキ 出久根達郎

古本屋さんがパピヨンを飼う。半分以上が闘病記で、ちょっと辛い本ですね。

新さん 泉昌之

f89fd0gi.JPG妻が会社で拾ってきたマンガ。とは言え、泉昌之のマンガは家に一揃いあったりする。現代に生き残る純情バンカラ青年、新さん。やや読んでいて恥ずかしいところもあるが、昔から変わらない泉昌之の合理性を愛する美学は変わらない。

毎日かあさん カニ母編 西原 理恵子

ypgiggim.JPG金出して買うのはこんなマンガだったりする。アル中の夫とふたりの子供との暮らし。サイバラ流。朝日新聞で週一連載だそうだ。連載時は白黒だが単行本はオールカラー、だそうだ。また愛ちゃんにぜんぶ塗らせたな。

大変面白い。やっぱこいつにはお金を払う価値がある。破滅的のようでもあり、育児の真髄をこっそり物語っているようでもあり、読む人がその人なりの価値観でそれぞれに「いいな」と思うように作っているあたりはプロを感じた。
夫鴨ちゃんとの離婚前も描かれている。鴨ちゃんのことを「好きだった人」と表現した文章は初めて見た。

この人も先ほどのわかぎえふ同様、本物の姉御なんだろう。巻末と見返しに写真が載っているが、正直「美しい」と思った。

大阪の神々 わかぎえふ

uyxragff.JPGあまり世間には知られていないことだが、世田谷のボンボンと呼ばれて久しいこのワタクシは、実は2歳から8歳の途中まで大阪市阿倍野区というところで暮らしていたバリバリの浪速ボーイズだったのだ。
今では「イチゴ」と「粉」の発音を時々間違える以外はNHKも驚く標準語使いであるが、小学校3年生で世田谷区立中丸小学校に転入した時には言葉が通じず泣き暮らす日々だったと老母は語る。

さて、この文庫。奥付を見れば一目瞭然。会社に落ちてたボンです。わかぎえふはご存知リリパットアーミーの座長兼作家兼演出。ミニマムサイズの身体に似合わずパキパキっとした姉御肌の女性で、我が家でも人気。本のテーマは「大阪人」。実に明快で分かりやすい。日本で唯一、オリジナリティと自己主張を求められ、かつまた親戚付き合いの濃い田舎町。あのまま父が転勤しないで大阪に住み続けていれば自分もこうなったのかと考えながら読んだ。◎です。これ◎ってMacでも二重マルだっけ?

ああーん、あんあん 室井佑月

tc9d2t6g.JPG会社の引越しの時に拾った文庫。よくしらない人だが文筆家としてそこそこ売れているらしい。近年やたら目に付く自堕落破滅型生活スタイルを売りにしているよくあるエッセイ。ダーリン(高橋源一郎)との結婚~出産期に書かれたもの。

常識を何より重んじる我が家の家訓からすると、この手のオンナは本当に鼻持ちならないのだが、文字だけの付き合いなのでまあいいだろう。ズボラとノロケ話がメインで、別にそう面白くもないけど、7分間の地下鉄の旅で読むにはほどよいつまらなさ。

…とか思いながら読んでいたのだが、なんと最後の「文庫本あとがき」で意外などんでん返しが。このエッセイ進行中にもダーリンは昔の女とずっと付き合っていたことが発覚。文庫本刊行前に離婚。本編でめろめろだったダーリンへの恨みつらみを、あとがきで綴るというものすごい構成の本となった。約束の養育費を払ってないことまで書かれて源ちゃんも形無しですね。

ちなみに、このネタバレを知った上で読んだらタダのつまんないエッセイですので。念のため。

妻が早朝からゴルフにでかけ、ついでに私も早起き。朝からカチャカチャやってます。
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