book

口笛吹いて 重松清

dl5ja87i.JPG久しぶりの重松。スリ傷だらけの心に沁みる佳品揃い。とりあえずなんか文章が出てこないので感想はいずれ書き足す(かも)
てゆうか、今夜は久しぶりに晴れ晴れした心境なので、サクっと寝た方がいいのかも。

ダーリンは外国人1巻 小栗左多里

ywag6xwy.JPG2巻の後で1巻を読む。
すごくおもしろい。

ダーリンは外国人2巻 小栗左多里

8bry86gx.JPGリクルートが配っていた「R25」というフリーペーパー(フリー誌の中では最も出来が良いもの)の中で、1話だけ紹介されていたマンガを読んで、これは面白いなあと思っていたら、妻が買ってきた。しかし、1巻がなかったそうでいきなり2巻。

形式はよくあるマンガレポ。外国人と結婚した著者から見た文化の違いやら、精神面でのギャップを面白く紹介したもの…なんだけど、このマンガの特徴は、国による文化の違いとかそういったレベルでなく、単に夫であるトニーさんのキャラクターが尋常でなく個性的。それでありがちな国際文化論が入り込む隙がないくらいマンガとして強烈に面白い。マンガはやっぱしキャラクターですね。

お勧めです。はよ1巻買ってきてー。

号泣する準備はできていた 江國 香織

会社に落ちてた本。

電車の中で「泣けた」のどうのと、派手な宣伝をしていたこと、辻仁成との仕事が多いこと。最初から私にとっては不利なイメージが多くて、読む前から「貶そう」という意識の上で読んでいた気がする。

で、読んだ結果。それほどひどく貶す必要もないけど、かと言って誉めるところもそうはないかな。人の多くは、たいてい今満ち足りない何か、うまくいかない何かをたくさん背負って生きている。私もかつてはそうだった。心に傷口がある人にとってはこういう小さなストーリーは消毒薬のように染みてしまうことも多いんだろう。それは痛いだけであったり、薬として回復の手だてになったりいろいろと。

たまたま今の私にそういう部分がなかったので、この本はどこも必要とされなかっただけと思う。

ポチ&コウの野球旅 知恵の森文庫

4vkrv1a3.JPG雨かと思ったら雪になってきちゃいましたよ。今夜は青山でおかーたまとおにーたまとお食事なのに、まいったなあ。

野球マニアのポチと、イラストレータの妻(未入籍)が日本中の野球場を回るイラストエッセイ。まあまあ楽しめる。
現実的な妻と、イマイチ社会性に乏しく現在も失業中の夫との対比が面白い。野球の話の本のはずなのに、週刊SPA編集長を解任された夫の独白がはさみ込まれて、妙な雰囲気をかもし出している一冊。

コウさんは、私の現在の担当品目の講師であり、また私の元次男(って表現は変か)と音だけは同姓同名だったりして妙に親近感がありますね。

碇星 吉村昭

m54b4msn.JPGけっこう嫌いじゃなくて、昔からいろんな長編を読んでいるんだけど、実はどうにもつかみきれないもどかしさも感じてしまう作者。歳の差を埋められない。

・適齢期を過ぎた控えめな愛人を、会社の中で順に申し送る男たち。
・スーパーの喫煙コーナーで毎日集まる老人3人
・定年後に妻から「私も定年」と言われる男

など。広げようとすれば広がる主題の横顔だけを見せて、線香花火のように終わってしまう短編8本。まるでモノクロの風景画のよう。

無人島に生きる十六人 須川 邦彦

2ltja7s7.JPG明治31年16人を乗せた帆船は座礁し、珊瑚礁へ漂着。以降、一致団結して水・食料の確保に留まらず、生活のなかに様々工夫を凝らす16人。 そんな明治男たちの逞しい実話。

「僕の個人的な感想を言えば(中略)十五少年漂流記よりも本書の方が、話の展開として、そして実際に誰ひとり死なず、きっぱりと故国に生還している事実の経過という点でも、ずっと上を行く痛快譚ではないかと思っている」という椎名誠の推薦付き。

実際の遭難は明治で、それを昭和16年にその船の船長から聞き書きしたのが著者の須川氏。少年クラブに連載だったそうで、当時の少年(ちょうどウチの親くらいの世代か)向きに仕上がっているのはやむを得ないのだろうけど。それにしても昔の「ニッポンダンジ」の強くてやさしくて汚れのない様には驚嘆します。俺たちは汚れすぎだよ。

ゴミの定理 清水 義範

xcrx45q5.JPGどうでもいいんだけど、私の読んでいる本の8割くらいは自分で選んで買ったのではなく、リビングの電話機の横に積み上げられているものを順番に読んでいるだけなのだ。で、その本はというと妻が会社の「文庫本置き場」にあったものの中から夫が読みそうなものを適当に持って帰って来ている。・・・いや、ただそれだけなんだけど。

忙しくて忙しくて書き忘れていたけど週の始め頃に読んだ清水。読み終わった3分後には読んだという事実すら忘れていた。

ジュリエットの卵 全5巻 吉野朔実

cqas8sj3.JPGそしてさらに吉野朔実。

日曜日の午後、妻は私の部屋で「トルネコの冒険3」。私は南側のふとん敷きっぱなしの和室で服を着たままふとんに入ってマンガを読む。日当たり良好、まさに至福のひととき。

和室だと音楽が聞けなくて困るので、ちょっと池袋に行って邪魔にならない薄型のCDラジカセを買ってきた。実際には「カセット」なんてついてないんだけど、ラジカセ以外になんて呼べばいいのだ。安いわりに音もそこそこ。マンガ読みのバックミュージックはやっぱラジカセだぜ。

で、作品ごとにかなり絵柄の違う吉野朔実。マンガを「絵」として見た場合、完成度が一番高いのは、くらもちふさこだと思っているが、吉野朔実の絵のセンスもそれに近いレベルと思う。このマンガは双子の男女のなんやかんや。ファンの中では一番人気のようだ。(とあるファンサイトのアンケート見ただけだけど)
かーなり現実離れしちゃってるけど、現実の中だけでドラマを作ろうったってそうはいかないもんな。で、一気に20冊くらい読み続けたので吉野朔実もこれで一旦打ち止めです。

どうでもいいけど、43歳のマジメなサラリーマン日曜の午後に寝転んで少女漫画読みふけってていいんだろうか。

人として。

恋愛的瞬間 全5巻 吉野 朔実

jse0i6kv.JPGそしてまた吉野朔実。ものすごーく気に入ってんじゃない? と言われるとそういうわけでもないんだけど。会社で手に入る有象無象の大半は半分も読めば「けっ」と捨ててしまうものなのに、とりあえず最後まで読ませるのはエライと思う。

若い理屈先行型の恋愛マニュアル。というつもりかどうかはわからないが、クリニックを開設している心理学者とその周辺の大学生を軸に、毎回オムニバスでさまざまな恋愛パターンの分析やらなんやら。(なんだよ)

「恋をしていないと生きていけない」なーんて台詞をよく言う奴がいるが(心臓からワインが送り出されている女とか)、今だから言い切ってしまうが、結局のところ数だけこなして、いい相手にめぐり合ってないだけなんじゃ? 恋愛に一種の麻薬的な快感があるのはよおーっくわかるが、麻薬じゃ生きていけないのよ。人間は。

このマンガはケースパターン集として読めば、若い人にはお勧めなのですが、ここを読んでる人に若いのなんて一人もいないので意味がないのであった。 

少年は荒野をめざす 全4巻 吉野朔実

glqj5iuc.JPGということで、「僕だけが」の次は「少年」。情報によると吉野朔実という漫画家がその名を世に知らしめることになった名作だそうだ。私たちより10年若い人にとっての「トーマの心臓」みたいなもの?根強いファンが多そう。

実は1巻目あたりはずいぶん抵抗があった。内容にかかわらず、舞台が金持ちっぽい家や調度だったり、登場人物が社会的に、もしくは学校と言う狭い範囲の中でさえ「有名人」なのが苦手なの。雑踏の中に埋もれてしまいそうな弱い普通の人たちのお話が好き。普通って何とは聞かないで。私の世界では私が普通と思うことが普通。

小説家を目指す多感な少女、狩野都。幼い頃亡くなった兄の影響か ら抜けきれない都の前に黄味島陸という少年が現れる。都は陸 に、兄の代わりに男の子のように生きてきた自分を見、陸は都に、 抑圧から解放された自分を見る。運命的な出会いから、ふたりの人 生がこれまでとは違った方向へ動き始める。

設定はわかった。43歳のオヤジには「なんだかなあ」なストーリーでも、この漫画を必要として、共感したり考えたりしたい10代にはこういう漫画も必要なのだ。だから私も「はみだしっ子」はあの頃必要だった。主人公は失った兄の幻影に自分を同化させることで、そのまま現実の自分を見失う少女。かなりアブナイ。そして、頭の切れる学級委員と人気者の野球少年のトライアングル。よくあるよくある。現実にはないけど。そして、自宅をサロンとして公開している一見大人風な評論家。もちろんこいつも保護者風の立場ながら、顔はキレイで少女に惚れている。ホルバート・メチェック役ですね。

まあ、そんな感じで少女マンガの美味しい設定全開なスタートだったので読み始めはイマイチだったのですが、「僕だけ」同様に破綻のない展開と精密な絵柄で途中からはけっこう先へ先へと読ませてくれます。ただし、主役二人の行動は終盤は破綻にまみれますが。ちなみにこの感想文もけっこう破綻してるなあ。まいっか。

ポプラの秋 湯本 香樹実

前回の「夏の庭」に引き続き湯本香樹実でもういっちょう。ネタ拾いで検索しようとして、つい前作のイメージが残って「ポプラの庭」と入力してしまったら、約1名同じ勘違いをしてる人がいた。

夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた―。18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。

こちらも主人公は子供。そして老人。そして死。
まだ確固たるものの確立していないぐにゃぐにゃした子供の心を書くのは上手かも知れない。死に行くものが死者に届ける手紙というモチーフはファンタジーなんだけど、それほど嫌ではなかった。これも「ええ話」や。
脇の「佐々木」さんがいい味出してますね。
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